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RULE BOOK 2026 キョルギ新ルール
REIZ TAEKWONDO CLUB — RULE BOOK

2026テコンドー
キョルギ 新ルール
図解ブック

2026年1月改定・6月1日運用開始のWT(世界テコンドー連盟)競技規則を、全日本テコンドー協会 審判委員会のルールセミナー(2026年9月6日)の内容をもとに、図とイラストで整理しました。

試合に出る選手へ審判を目指す方へテコンドーをはじめて知る方へ
ライツテコンドークラブ(大阪) 出典: AJTA 審判委員会 WT競技規則オンラインルールセミナー 2026.09.06
How to read

この本の読み方

各ページの右上に、そのページが誰に向けた内容かのタグを付けています。上のバーで読者を選ぶと、関係するページだけをめくれます。

選手 PLAYER

試合で損をしないために。得点・反則・ラスト10秒・ビデオ判定の「自分に関わる部分」を中心に。

審判 REFEREE

これから審判資格を目指す方へ。主審・副審・ビデオジュリーの役割、計量・インスペクション、判定の手順まで。

はじめて BEGINNER

テコンドーを知らない方へ。コート、防具、点の入り方、反則の考え方を「観戦が楽しくなる」順に。

目次

Part 1 — Basics

キョルギ(組手)とはWHAT IS KYORUGI

はじめて

テコンドーの試合種目のひとつ「キョルギ」は、青(チョン)と赤(ホン)の2人が、電子防具を着けて蹴りとパンチで点を取り合う競技です。オリンピック種目でもあります。

3

ラウンド制

1ラウンドごとに勝者を決め、先に2ラウンド取った方が勝ち(ベスト・オブ・3)。

点

電子防具が採点

胴と頭の防具にセンサーが入っていて、有効な蹴りが当たると自動で点が入ります。

反

反則は相手に1点

反則(カムチョン)をすると相手に1点。1ラウンドで5回反則するとそのラウンドは負けです。

点の入り方(ざっくり)

3点頭への蹴り 2点胴への蹴り 1点胴へのパンチ ×2 回転して蹴ると2倍
※胴の回転蹴りは4点、頭の回転蹴りは6点。くわしくは「05 得点のしくみ」「06 回転技は2倍」へ。
観戦のコツ青と赤のコーナーの電光掲示には「点数」「残り時間」「反則の数(Gam-jeom)」が出ています。ラスト10秒は反則が2点になるので、終盤の攻防が一気に動きます。
Part 1 — Basics

コートと防具COURT & EQUIPMENT

はじめて選手審判
競技エリア(青・8m八角形) 反則エリア(赤)・10m×10m 黄色=境界線(幅60cm) 青 チョン 赤 ホン
10m四方の中に8角形の競技エリア。黄色の線に乗っているだけならセーフ、足の一部でも赤に出たら反則(2026年新ルール)。

防具(オフィシャル指定)

  • ヘッドギア(頭部防具)・胴プロテクター — センサー入りの電子防具(PSS)。
  • 電子ソックス — 足首から下が有効打撃部位。靴(シン)の部分だけ当たっても得点にならない。
  • グローブ・アームガード・シンガード(すね)・ファウルカップ・マウスガード。
  • 道着(ドボク)は大会規定(WTまたはAJTA)。帯が長すぎる・ズボンや袖を外側に折るのは不可。
用具の確認先WT公式サイト「Official Suppliers → Competition → Recognition」にWT公認ブランド一覧(2026年5月29日版、随時更新)。ルールブックは「Inside WT → Rules & Regulations」。
Part 1 — Basics

試合を動かす人たちOFFICIALS

はじめて審判
CR主審 ビデオジュリー オペレーター 副審 CJ 青コーチ 赤コーチ
配置は大会により異なります(日本の公式大会は副審2名が標準。WTは電子グローブ導入で副審1名化が進行中)。

コート内(試合進行)

  • 主審(CR) — 試合の進行、安全管理、反則(カムチョン)の宣言、時間とスコアボードの管理。
  • 副審(CJ) — 手元ボタンでパンチ・回転技(テクニカルポイント)を入力。スコアの責任者。
  • ビデオジュリー — ビデオ判定(IVR)の最終判断、オペレーターの監督、記録用紙への最終サイン。
  • オペレーター — 得点・時間のシステム入力。

コート外(事前準備)

  • 計量審判 — 選手の計量、当日のランダム計量。
  • インスペクション審判 — 試合直前の道着・防具・装具・爪・アクセサリーの点検。

審判の3つの役割: 選手保護(ラフプレーから守る)・公平性(どちらにも偏らない)・試合を楽しむ(双方が全力を出し、結果に納得できる運営)。

Part 2 — New Rules 2026

新ルール 7つのポイントWHAT CHANGED IN 2026

選手審判はじめて

2026年1月1日改定、国内は6月1日から運用。全日本ジュニア選手権(奈良・7月26日)のキョルギから適用されています。反則の「中身」はほぼ変わらず、点数・境界線・ラスト10秒・カードが大きく変わりました。

#項目変更前2026年〜
1回転技の加点(テクニカルポイント)+2点(一律)基本点と同じ点を加算=2倍
胴の回転蹴り 4点・頭の回転蹴り 6点
2バウンダリーライン(場外)片足の全部が出たら反則片足の一部でも出たら反則
黄色の線上はセーフ
3ポイントギャップ(点差でラウンド終了)12点差15点差
4試合の終わり方勝者宣言のみ「チャリョ・キョンネ」の礼をしてから勝者コール
5ラスト10秒の反則相手に1点3種類の反則は相手に2点
場外・転倒・逃げる行為
6同点のときの判定基準4段階5段階(「反則による得点」を分離)
7テクニカルカードなし主審だけが持つグリーンカードを新設
そのほか小さな変更回転技の定義から「首が180°以上回る」の項目がなくなり、肩が回っていれば回転技(上半身が動かず足だけ回すのは回転技ではない)。パラテコンドーの反則ジェスチャーがキョルギと同一に。
Part 2 — Scoring

得点のしくみ(PSS)POINTS & PSS

選手はじめて審判

PSS(プロテクター・スコアリング・システム)=選手が着ている電子防具。有効な打撃が入ると機械が自動で「基本の点数」を判定します。回転のボーナス点は電子防具では反応しないので、副審が手元のボタンで加えます。

技点数誰が判定するか
パンチ(胴)1副審が目視で判定(手元ボタン) ※日本は電子グローブ未導入
胴への蹴り2PSSが自動判定
頭への蹴り3PSSが自動判定
胴への回転蹴り4PSS 2点 + 副審のテクニカル点 2点
頭への回転蹴り6PSS 3点 + 副審のテクニカル点 3点
相手の反則(カムチョン)1主審の宣言で相手に1点(ラスト10秒の3種類は2点)

頭の回転蹴りは「6点」

5点ではありません。旧ルールの「+2」の感覚で入力しないよう、副審は特に注意。

有効部位は足首から下

電子ソックスの部分が当たって初めて得点。靴(シン)の部分だけ、手でブロックされた、腕カバーに当たった — は得点になりません。

頭を蹴ったのに点が入らないとき主審が「カウント」を取ったのに頭部PSSが反応していない場合は、主審自らIVR(ビデオ判定)を要請して当たっていれば3点(回転なら6点)を追加します。主審が忘れていたら、ほかの審判がリマインドします。
Part 2 — Scoring

回転技は2倍TURNING KICK = DOUBLE POINTS

選手審判
2胴 PSS + 2回転 副審 = 4胴の回転蹴り 3頭 +3 = 6点

回転技の定義(2026)

  • 肩が回っていれば回転技。
  • 「首が180°以上回る」という基準はなくなった。
  • 上半身がまったく動かず、足だけ回して蹴るのは回転技ではない。

副審の注意点

  • 回転ボーナスは副審が入力。押し忘れ・二重加算・連打に注意。
  • 頭の回転2回なら 3点ずつ2回入力。取り消すときも同じ。
  • すべての得点に副審が責任を持つ。
反則と同時のときグラビング(つかみ)してから回転蹴り、手をついてから頭を蹴った — など反則が先なら、その得点は取り消し(回転分も付かない)。得点が先で、その勢いで転んだ場合は転倒のカムチョンにならない。順序の見極めが大事。
Part 2 — Scoring

パンチの判定PUNCH

選手審判

パンチは副審が目視で判定して1点。「正しい技術」と「十分なパワー」の両方があって初めて得点です。日本は電子グローブ未導入なので、副審2名が同時に押したら加点(従来どおり)。

OK 得点になるパンチ

  • 肘がまっすぐ伸びたストレートパンチ(前の手・後ろの手どちらでも可)
  • 固く握った拳の拳頭(ナックル)で捉えている
  • 正しい技術に伴う強い衝撃がある
  • 胴プロテクターのポイントエリア内にヒット

NG 得点にならない

  • 肘が曲がっている(押す・叩く・擦る)。フック・アッパーは正当な技術ではない
  • 肩・背中などポイントエリア外、腕やアームガードに当たった
  • 音は鳴っているがフォームが崩れて威力が弱い
  • 副審からヒットの瞬間が見えていない
副審のNG行為(セミナーで強調)①音だけで押す ②軽いパンチで押す ③見えていないのに押す。副審1名制でオペレーターの横に座ると死角が生まれる。見えないときは押さない。
Part 2 — Weight Categories

階級WEIGHT CATEGORIES (WT 2026)

選手審判
8

一般(World)

男女各8階級。世界選手権など。大会により6階級方式も。

4

オリンピック

男子 58/68/80/80超、女子 49/57/67/67超。

10

ジュニア・カデット

男女各10階級。カデットは12歳以上(それ以下は各国協会が対応)。

5

ユース(YOG)

ユースオリンピックの5階級。2026年11月ダカール大会。

区分男子(kg)女子(kg)
一般 8階級-54 / -58 / -63 / -68 / -74 / -80 / -87 / +87-46 / -49 / -53 / -57 / -62 / -67 / -73 / +73
一般 6階級
(2026.1 規則記載・実施時期未定)
-54 / -60 / -67 / -74 / -82 / +82-46 / -51 / -57 / -63 / -70 / +70
オリンピック 4階級-58 / -68 / -80 / +80-49 / -57 / -67 / +67
ジュニア 10階級-45 / -48 / -51 / -55 / -59 / -63 / -68 / -73 / -78 / +78-42 / -44 / -46 / -49 / -52 / -55 / -59 / -63 / -68 / +68
ユース 5階級-48 / -55 / -63 / -73 / +73-44 / -49 / -55 / -63 / +63
カデット 10階級-33 / -37 / -41 / -45 / -49 / -53 / -57 / -61 / -65 / +65-29 / -33 / -37 / -41 / -44 / -47 / -51 / -55 / -59 / +59
読み方「-54」は54.0kgまで、「+87」は87.1kgから。例: 男子-58は54.1〜58.0kg。
Part 2 — Weigh-in

計量のきまりWEIGH-IN RULES

選手審判

小数点第1位まで(切り捨て)

体重計が第2位まで出ても、第1位までで判定(切り上げない)。

シニア -63kg級(規定63.0)合格 〜63.09(表示63.0)失格 63.10〜(表示63.1)
ジュニア以下 -48kg級
(規定48.0+着衣補正0.1)
合格 〜48.19(表示48.1)失格 48.20〜(表示48.2)

服装と身だしなみ

  • シニア: 全裸計量が認められる。
  • カデット・ジュニア(小中学生以下): 全裸計量は絶対禁止。下着着用のため+100g(0.1kg)まで許容。男子はパンツ1枚、女子はアンダーウェア(タンクトップの上のキャミソールは脱ぐ。小学校低学年で着ていない子はキャミソール1枚OK)。
  • アクセサリー・時計はすべて外す。髪はまとめ、飾りやピンは外す。
  • マニキュアは白か透明のみ(色付きは除光液で落とす)。爪は短く。
  • 計量直前の飲食は控え、計量中は静かに動かない。

再計量と記録(審判向け)

  • 再計量は受付時間内なら何度でも可(例: 受付15:00〜17:00なら17:00まで)。
  • 計量用紙には1回目・2回目の記録と、パスした選手本人のサインを必ずもらう。末尾に審判員2名のサイン。
  • 棄権者と失格者は別色のマーカー2色でハイライト。合計人数・pass / failed / no show を記入。
  • 計量業務はDQ審判以上。体重計・爪切り・各種シートを事前に準備し、選手集合時に「爪を切るように」アナウンス。
Part 3 — Gam-jeom

反則(カムチョン)の一覧PROHIBITED ACTS

選手審判はじめて

反則=カムチョン。1回につき相手に1点(ラスト10秒の3種類は2点)。1ラウンドに5回でそのラウンドは負け。一連のプレーで反則が重なっても原則1回だけ(例外: アフターカリョとミスコンダクトは2つ目として科せる)。

WT競技規則 禁止行為

  • 足の一部分が境界線を越える
  • 倒れる行為
  • 避ける・遅延行為(3秒間攻撃しない→ゴンギョ(注意)→さらに3秒、腰より下にしゃがむ、後ろを向いて回避)
  • 相手を掴む(道着・防具を掴む、前腕で脚を引っ掛ける)・押す(境界線外に押し出す、攻撃動作を妨げる、1秒以上押す)
  • 足を上げて相手の攻撃をブロック
  • 相手の腰より下を蹴る/蹴りが腰より下を狙っていた
  • 手や腕で頭部を殴る
  • 「カルリョ」の後に攻撃する
  • 脚を上げて空中を4秒以上蹴って相手の攻撃を妨げる/腰より上に足を上げて4回以上蹴る
  • 倒れた相手を攻撃する
  • クリンチで脚の側面・底面で胴を攻撃、ヘッドプロテクター後ろへの攻撃
  • 頭突き・膝での攻撃
  • 選手・コーチの不正行為、反スポーツマンシップ行為

必ず取る4つのカムチョン

WTが「誰が見てもそう」として確実に取るよう求めている4つ。ラスト5秒のIVR対象でもあり、相手の反則としてコーチが要求できる4つでもある。

  1. バウンダリーライン境界線を越える
  2. フォーリンダウン倒れる
  3. アフターカリョ「カリョ(止め)」の後に攻撃
  4. アタッキング・フォールン・オポーネント倒れた相手を蹴る
スナイパーにならないルールブックどおりに全部取ると試合にならない。不要なカムチョン(アンネセサリー・カムチョン)は取らず、選手が戦っているなら戦わせる。50/50の不明確なケースは取らない — これが今のWTの解釈です。
Part 3 — Gam-jeom

バウンダリーラインBOUNDARY LINE

選手審判はじめて
OK OK(線上) NG 一部でも赤 NG 競技エリア(青) 境界線(黄) 反則エリア(赤)
2026年〜: 片足の一部でも黄色の線の外(赤)に出たらカムチョン。線に乗っているだけなら反則ではない(ここは従来と同じ)。

得点との関係

  • 出た選手の出た後の得点 → 無効(反則後のポイントは取り消し)
  • 出た選手の出る前の得点 → 有効
  • ライン内に残っている相手の正当な得点 → 有効(反則に関係なく得点)
  • 主審の「カリョ」の肘が伸びる前に足が上がっていた蹴りは有効

相手の反則で出た場合

  • 相手の押し・掴みでラインへ出されたら、出た選手にカムチョンは与えない。押した側のプッシング/グラビングを取る。
  • 見るのは「外に出た足」ではなく「押し出した相手の手や腕」と因果関係(どっちが先か・何が原因か)。
  • ただし、誰が見ても耐えられるのに少し触られただけで出るのは「戦う意思がない」=出た方のカムチョン。押しながら蹴っている(攻撃の意思)場合も出た方。
審判のポイント①カリョが早すぎないこと — 「出そう」で止めると反則にできず、IVRでカードの行方も変わる。相手が出てからカリョ。②立ち位置 — 競技エリア内から見ると出たように見える。横からライン上を見える位置へ。③カリョ後に惰性で出たのはノーカウント。④再開は元の位置(ラインから約1m内側でOK)。
Part 3 — Gam-jeom

フォーリンダウン(転倒)FALLING DOWN

選手審判

足の裏以外の体の一部が床についたら転倒。手をつく・擦るのも含む。安全確保と不必要な中断を防ぐため、原則として転倒した選手にカムチョン。

基本の判定

  • コート内での単独転倒(自分で倒れた・バランスを崩した) → カムチョン
  • 回転蹴りで得点してから勢いで倒れた → カムチョンなし(技の自然な流れ)
  • 回転蹴りの後にライン外・赤エリアへ倒れた → バウンダリーラインのカムチョン
  • 手が先についてから頭に当たった → 反則後の得点なので取り消し(回転分も付かない)

例外・特殊ケース

  • 両者衝突・両者転倒 → 両者カムチョンなし(片方だけに誤って与えない)。真ん中でスタンドアップして再開。
  • 相手の押し・掴みで倒された → 倒れた選手はなし、押した・掴んだ側にカムチョン。
  • カリョ(止め)の後に倒れた → カムチョンなし(試合中断後の事象)。
「押された」のアピールについて競技エリア内で攻撃しようとして押すのは基本悪くない → 倒れた方のカムチョン。ただし足を抱えたまま押し倒すなど掴んでいたら掴んだ方が悪い。「掴んでたから倒れた」のアピールは、基本は倒れた方が悪い(コーチはチャレンジ可)。

判断に迷ったときの主審のチェック手順

  1. 原因自爆(スリップ)か、相手の接触・反則か?
  2. 順序得点や反則が先か、倒れたのが先か?
  3. 位置コート内か、ライン上・外か?(足が出た後に倒れたらどちらで取ってもよい — 反則は1つ)
  4. カリョ主審の腕が伸びる前か後か? 蹴り合いの最中はカリョを待ち、倒れてから取る
Part 3 — Gam-jeom

グラビング(つかみ)GRABBING

選手審判

相手の身体・道着・防具・手足を「つかむ」「引っかける」「抱え込む」行為。相手の動きを制限したり、引き寄せて優位に攻撃しようとする不当な行為を禁止するもの。セミナーで「いちばん厄介」とされた反則です。

反則になる主な行為

  • 相手の道着や防具、身体を手でつかむ
  • 相手の蹴り足・脚をつかむ、前腕で引っかける
  • 手や腕で相手を強引にコントロールして有利に攻撃しようとする(防具の硬い部分をグッと引き寄せ、相手が逃げも押しも攻撃もできない状態で蹴る)
  • 相手を持った状態でジャンプして頭を蹴る(持たないとできない技)
  • 防具を持ったまま引きずり倒す(2人とも倒れても、掴んだ側のグラビング)

反則ではない(2026年の解釈)

  • 攻防の中で偶発的に一瞬触れる程度
  • 少し手をかけていても攻撃の意思があって蹴りに行っている
  • 相手の足を自分が蹴るためにどかしているだけ(「掴まれた」アピールがあっても)
  • 以前は「肩を少し越えたらグラビング」と言われた時期もあったが、今は「少しぐらいはいい」。どこまでがOKかは審判同士・コーチとのすり合わせを継続中
得点との関係グラビングを行った直後・連続して決めた得点はすべて無効(取り消し)。「得点が先か、グラビングが先か」の順序を審判が見極める。頭を2回蹴っていたら3点ずつ2回取り消す。
判定のものさしいちばんは「攻撃の意思があるかどうか」。2人ともグラビングしているからと両方に上げ続けると、5個しかないカムチョンをどんどん埋めてしまう。明らかなものはしっかり取り、明らかなものすら取れなくならないように。
Part 3 — Gam-jeom

クリンチとアニマルキックCLINCH / "ANIMAL KICK"

選手審判

モンキーキック・スコーピオンキック・フィッシュキックなど、密着(クリンチ)した状態で足だけ上げて防具や後頭部に当てる技を総称して「アニマルキック」と呼びます。グラビングのハンドシグナルでカムチョンを取ります。

密着して足だけ上げて当たった → 反則 ラッキーポイント(クリンチポジション) 空間 少しでも空間があり蹴りに行っている → 蹴り

カムチョン(得点になっていなくても)

  • クリンチで密着し、足をすっと上げただけで防具に当たった(持っているかどうかは関係ない)
  • 足が柔らかくて、密着したまま足を上げたらヘッドギアの後ろに当たった
  • 密着した状態で得点した場合はグラビングのカムチョン+得点取り消し

蹴りとして認める

  • 少しでも空間があって、ジャンプしたり踏み込んだりして蹴りに行っている(フィッシュキックの形でも)
  • 距離を詰めながら足を上げたのがモンキーっぽく見えても、距離感の問題であってグラビングではない
  • 多少手が触れていてもパンダルチャギ(回し蹴り)で顔の横を狙っている
  • サイドキックで横を狙い、相手が顔を避けたため後頭部に当たった → 反則ではない
指導するなら「ちゃんと蹴りに行く」ことがいちばん。攻撃の動きの中でクリンチになったのと、クリンチポジションで足を上げるのは別物。
Part 3 — Gam-jeom

スライド・膝・腰より下・カリョ後OTHER PROHIBITED ACTS

選手審判

スライド・足上げ・空中蹴り

  • スライドは蹴りが伴えば許容(ワンスライド・ワンキック)
  • 空中を蹴る動作が4回以上 → カムチョン(得点が入っていればポイントも取り消し)
  • 足上げ・空中蹴りが3秒を越えた場合 → カルリョ→ケソク(再開)。お互いの足がクロスして止まったら、3秒超える前に主審がカリョして離す

膝によるブロック/攻撃

  • 膝でブロックする行為 → カムチョン
  • 近距離で意図的に膝を当てる行為 → カムチョン
  • 相手が突進した結果の膝接触 → カムチョンなし
  • 膝を上げて蹴り(チッキ)を狙っているのは膝ブロックではない。相手の蹴りに合わせて膝で受けに行くのがブロック

腰より下への蹴り

  • 意図的に腰より下を攻撃 → カムチョン(太ももの真ん中あたりから下を狙う、足が上がらず何度も太ももを痛めつける等)
  • 攻防中の偶発的な接触 → なし(お互い近づいて足がバッティングした等)
  • Exchange(攻防)中かを確認する
  • 防具に少しでも足がかかっていれば「腰より下」ではない

カリョ後攻撃(アフターカリョ)

  • 主審の腕が完全に伸びた時点でカリョ完了
  • 攻撃開始は足が床から完全に離れた時点
  • 接触または悪質性がある場合に対象。悔しくてカリョ後に蹴りに行くのは故意のアフターカリョ
  • 主審のカリョが早すぎてアフターカリョを「作ってしまう」のは主審のマネジメントミス。クリンチで休んでいるときはカリョ、足がバタバタして攻撃しようとしているときはかけない。「カリョに入る前は足を見る」
Part 3 — Last 10 Seconds

ラスト10秒は反則が2点LAST 10 SECONDS

選手審判はじめて
2:000:100:00 反則 → 相手に 1 点 3種類の反則 → 相手に 2 点 場外 / 転倒 / 逃げる・避ける(アボイディング)
1

境界線を越える

シグナルは通常のバウンダリーラインと同じ。

2

倒れる行為

蹴りながら何度も倒れるのも「逃げ」とみなされる。スタンドアップ→カムチョン。

3

故意に逃げる・交戦を避ける

過度なクリンチ、わざと避ける。グリーンカード(テクニカルカード)の要求が却下された場合もここに入る。アボイディングのシグナル。

  • 主審は該当の反則のカムチョンを与えた後、「2点」のハンドシグナルで相手に2点入ることを示す。
  • 反則が起きたのが「ラスト10秒以内か」「2点の対象か」を感覚で決めず、必要ならグリーンカードでビデオ確認。
  • ラスト10秒からはむやみなカムチョンを取らない。点差がほぼなく、この2点で勝敗が変わるときは「ラスト5秒のIVR」で確認(→25ページ)。
選手へ終盤に負けていて焦ると、場外・転倒・クリンチで一気に2点ずつ失います。逆に勝っているときの「逃げ」は最も高くつきます。
Part 4 — Cards

3種類のカードCARDS

選手審判はじめて

青 赤

コーチのIVRカード

青・赤のコーチが1枚ずつ持つ。判定に異議があるとき5秒以内に掲げてビデオ判定を要求。認められれば返却、却下なら没収。主審も、頭部の確認などで選手のカラーカードを使って要請することがある。

G

グリーンカード(テクニカルカード) 2026新設

主審だけが持つ。時間・ファントムポイント・入力ミス・PSSテスト・取り消し忘れ、といった「機械や運営のトラブル」の確認に使う。コーチは持たない。要求が却下されると、要求した側にミスコンダクト(ラスト10秒はアボイディング2点)。

Y

イエローカード

主審だけが持つ。選手・コーチの著しいマナー違反や不適切な言動(判定への不服申し立て、非紳士的な態度)、パラの意図的な頭部攻撃などに。試合全体で3回で失格(DQB)。

カードの出し方の順序(主審)

  1. チョン/ホン該当選手を指す
  2. カムチョン反則の宣言
  3. ミスコンダクト等反則の種類のシグナル
  4. イエローカード必要な場合はこの後に提示
4つ目のカムチョンのとき5つ目でそのラウンドは負け(PUN)になるため、主審は4つ目で必ず「4」のハンドシグナルを、少し長めに選手に見せる。パッと終わって次に進めると選手が状況を分からず後でもめる。主審が忘れていたら、ほかの審判がリマインド。
Part 4 — Technical Card

グリーンカードが使える5項目TECHNICAL (GREEN) CARD

選手審判
  1. タイムイシュー(時間の問題)時計が止まっていなかった、残り10秒を切っていたかの確認 など
  2. ファントムポイント誤作動などで身に覚えのない得点が入った。規則に明記はないが反映の遅延(約3秒)を考慮し、急に点が付いたらビデオで確認
  3. 時間入力ミス/スコアボード入力ミス青赤が逆に入力されている等
  4. PSSテスト電子防具が反応しているかの確認。1ラウンド目からグリーンカード(以前は1Rは主審カード、2R以降はコーチのカード没収)。正常に動いていれば要求した側にミスコンダクトで1点、ラスト10秒ならアボイディングで相手に2点
  5. 主審がカムチョン後の点数を取り消し忘れた最近追加。主審の責任なので、コーチがカードを持っていなくても要求できる

流れ

  1. コーチが要求「時間が止まってなかった」等
  2. 主審がグリーンカードコーチのカードは受け取らず「チョン/ホン ビデオリプレイ」と言って自分のグリーンカードを出す
  3. ビデオジュリーが確認
  4. 承認 → 修正/却下 → 要求した選手にミスコンダクト(アボイディング)のカムチョン
これはグリーンカードではない「倒れた相手への蹴りでヘッドギアに当たり3点だけ取り消したが、カムチョンではないのか」という要求は、反則を与えるべきかの問題なのでコーチのカード(IVR)で行う。グリーンカードは上の5項目だけ。
Part 4 — Point Gap

15点差でラウンド終了POINT GAP (PTG)

選手審判はじめて
20 5 15点差 → ラウンド終了

適用区分

  • カデット・ジュニア以下: 決勝戦を含め15点差でラウンド終了
  • シニア: 準決勝・決勝以外で15点差でラウンド終了(準決勝・決勝は最後まで)
  • 12点差 → 15点差に変更(テクニカルポイント2倍を考慮)。それ以外は従来どおり

15点差と反則が同時のとき

  • 15点差がついた「後」の反則 → その瞬間にラウンド終了なので一切取らない。例: 頭を蹴って15点差と同時に転んだ → 転倒は取らない(取ると14点差になって再開してしまう)
  • 15点差がつく「前」の反則 → カムチョンを科して直前の得点を取り消す。例: グラビングしてから頭を蹴って15点差 → グラビングが先なのでカムチョン+取り消し → 11点差ほどで再開
主審へ「15点差がつく前の反則か、ついた後の反則か」の見極めが、本来勝っていた選手を再開させてしまわないための大きなポイント。
Part 4 — Tie Break

同点のときの決め方TIE-BREAK & SUPERIORITY

選手審判

ラウンドが同点のときは、優先①から順にチェックして差がついた時点で勝者を決めます。2026年から「反則による得点」が独立した項目になりました(ラスト10秒の2点があるため)。

  1. 回転蹴りの総得点難易度の高い回転技で多く点を取った方
  2. 高得点技頭 > 胴 > パンチ の順に多く取った方
  3. カムチョンの得点相手の反則で得た点数が多い方 ※2026年に分離
  4. ヒット数有効打(技が当たった回数)が多い方
  5. 優勢記録(ウーセーキロク)主審・副審の判断で勝者を決定

優勢記録の4つの基準

1

積極的な試合運び

主導権を持ち攻撃的に展開。0対0のときどちらが先に足を出しているかをチョン・ホンで数えておくと判断がぶれない。

2

技の数

出した技・攻撃の試行回数。

3

技の高度さ

回転蹴りなど難度・複雑性の高い技。

4

競技態度

マナーを守り、良好な姿勢。

優勢記録は主審と副審の3人で行う。海外で副審が1名のときはビデオジュリーが加わる(主審から見てオペレーター側を向き、右に副審、左にビデオジュリー)。

Part 4 — End of Match

試合終了の流れEND OF MATCH

選手審判はじめて

従来は最終ラウンド終了後、主審が勝者を宣言して終わりでした。6月1日の新ルールからは礼をしてから勝者コールになります。

  1. 「チョン」「ホン」主審がコールし、選手を所定の位置に立たせる
  2. 「チャリョ」「キョンネ」気をつけ・礼。各選手が挨拶
  3. 勝者コール「ホン スン」「チョン スン」で試合終了
  4. 記録の確認最終スコア確認、記録用紙・トーナメント表への署名(ビデオジュリー)

主審が避けるべき終盤のミス

  • 見切りの終了コール — 数秒残して「クマン(終了)」を言わない。残り時間を厳守。
  • ラスト5秒の独断 — 終了間際の4つのカムチョンは、適切な手続き(IVR)を経ずに独断で終了させたり与えたりしない。
  • 役割のあやふやさ — 緊迫した場面で主審・副審・ビデオジュリーの権限の境界が曖昧にならないように。
Part 5 — Instant Video Replay

ビデオ判定(IVR)とはIVR & THE 5-SECOND RULE

選手審判はじめて

IVR(Instant Video Replay)=コーチがカードを掲げて要求するビデオ判定。ビデオジュリーの判断が最終決定です。コーチは青・赤のカードを1枚ずつ持ち、認められれば返却、却下されれば没収されます。

  1. 要求(CR)コーチが事象発生から5秒以内にIVRカードを掲げる。5秒を超えた要求は即却下
  2. 受理(IVR)主審が受理し、ビデオジュリーへ映像確認を依頼(シグナルあり)
  3. ジュリー確認映像を確認し、1つずつ判定(30秒以内)
  4. 結果の通知ジュリーの合図を確認し、主審が結果を発表・修正・継続のシグナル。オペレーターが操作

できないこと

  • ヘッドキックに対する要求(PSSが判定するため)
  • 一度IVRで確認した後の追加要求 — 「もう一度見せて」も「ついでにあのプレーも」も不可(5秒を超えているため)。例外: 主審が誤った選手にペナルティを与えた場合は後からの訂正請求が可能
  • 試合開始前・終了後の要求。試合中はカリョのタイミングで受付可否を判断
  • IVRのないコートでは、コーチはカードを持たない(要求できない)

カードが返却される特別ケース(不可抗力)

判定はリジェクト扱いだがコーチの責任ではないため、例外的にカードを返す:

  • 死角 — 主審や選手の体でカメラが遮られていた
  • 機器トラブル — 当該シーンが録画されていない、画面が真っ黒
  • 計測ミス — オペレーターが時間を開始していなかった(試合が始まっていないのでリジェクト、カードは返す)
Part 5 — IVR

相手へのカムチョンを要求できる4ケースREQUESTING OPPONENT'S GAM-JEOM

選手審判

IVRは本来「自分の反則・得点の取り消し」や「自分の得点」を求めるカード。相手に反則を科すよう要求できるのは次の4つだけで、それ以外の「相手のカムチョンを取ってくれ」という要求はできず、カードは没収されます。

1

バウンダリーライン

相手が境界線(コート外)に出たのに反則が取られていない。

2

フォーリンダウン

相手が倒れたのに反則が取られていない。

3

カルリョ後の攻撃

主審の「カルリョ」の後に相手が攻撃してきた。

4

倒れた相手への攻撃

自分がダウン・転倒している状態で相手から攻撃を受けた。

自分のカムチョンを取り消し、なおかつ相手へのカムチョンを要求できる2ケース(逆転)

フォーリンダウン(転倒)

自分が倒れてカムチョンを取られたが、原因が相手の反則にある場合。例: ①相手に掴まれて倒された ②相手にローキック(下段蹴り)を蹴られて倒れた。

バウンダリーライン

自分が場外に出てカムチョンを取られたが、相手の押し出しによる場合。例: 相手に(不正に)押されてライン外に出された。わざと自分から出たのか、相手に押し出されたのかを見極める。

こんな要求はどうなる?倒れた相手を避けようとした足がたまたまヘッドギアに当たり、主審が「わざとではない」と3点の取り消しだけで再開した → コーチは「倒れた相手への攻撃のカムチョンでは?」と自分のカードで要求できる。主審は「わざとではなく避けようとして当たっただけなので3点取り消しだけにした」とジュリーに伝える。却下ならカード没収。カムチョンと得点取り消しは必ずセットではない。
Part 5 — IVR

両陣営からの要求・2アクション要求DOUBLE REQUESTS

審判

両陣営(赤・青)から同時に要求があったら

  1. 主審は「チョン/ホン」を置き、青のコーチから要求内容を聞き、次に赤のコーチへ(順序はどちらでもよいが青からが望ましい)
  2. 中央に戻り、2枚のカードを重ねて持ち「チョン ビデオリプレイ」→裏返して「ホン ビデオリプレイ」と周囲に見せる
  3. ビデオジュリーにそれぞれの要求内容を明確に伝える
  4. ジュリーはまとめて処理せず1つずつ判断(メモを取る)。両方いっぺんに見ると分からなくなる
  5. 1つ目の結果を発表(RJ主審判定 → CRコーチ要求の成否 → シグナル)してから2つ目へ

リジェクトの方が簡単なので先に処理するとよい: 例「ホン ×(リジェクト)」→主審がカードをポケットへ→その後「チョン アクセプト」→同じジェスチャーをしてカードを返し、カムチョンの付与・取消やポイントの付与・取消を行う。両方アクセプトでも1つずつ全部終えてから次へ。

2アクション要求

5秒以内に起きた2つの事象をまとめて1枚のカードで要求できる。

  • 両方有効 → アクセプト、カードは返却
  • 片方のみ有効 → 全体として却下(カード没収)。ただし有効な方の判定は行う
  • 複雑な場合はジュリーが主審を前に呼んで「どちらが有効でどちらが無効か」「次にどのジェスチャーをするか」を説明してから主審が発表する。「アクセプトだからカードを返してしまう」ミスを防ぐため

2つ目のカムチョンが科されるケース

一連のプレーで反則が重なっても原則カムチョンは1回のみ。例外は2つ:

  • アフターカルリョ — 例: グラビングでカリョをかけたのに蹴った → グラビング+アフターカリョ
  • ミスコンダクト — 例: 投げ飛ばして倒れた相手を蹴った → グラビング+(悪質なので)ミスコンダクト

1アクセプト/1リジェクトのときの手順

  1. 要求の伝達主審が両方の要求をジュリーへ
  2. 審議と呼び出しジュリーが映像確認後、主審を前へ
  3. 状況説明・判定の示達ジュリーがアクセプト/リジェクトのシグナル
  4. カードの処理リジェクトの分は主審のポケットへ(権利消滅)
Part 5 — IVR by Referee

主審が自分で要請できるIVRCR's OWN IVR & LAST 5 SECONDS

審判選手

主審が要請できるもの

  • ラスト5秒のカムチョン(4項目)
  • ラスト10秒のカムチョンで「10秒を切っていたか」の確認 → G
  • プリテンディング・インジュリー(怪我のふり)
  • ヨドル(8)/10カウント後にノーポイントだった場合のヘッド確認 → 選手のカラーカード
  • テクニカルイシュー(PSSポイント)・ファントムポイント・スコアボード入力 → グリーンカード
  • 副審(CJ)からのテクニカル確認の要請 → チョン/ホンそれぞれのカード

主審は自分のミスをIVRで確かめることはできない(「どっちか分かりません」は不可)。ライブで見て瞬時に判断する。

ラスト5秒のIVR

各ラウンド終了間際のラスト5秒で起きた、勝敗に大きく影響する事象の確認。主審が使うもので、コーチは使えない(コーチは相手の反則要求を自分のカードで行える)。

  • 対象4項目: バウンダリーライン/フォーリンダウン/カリョ後の攻撃/倒れた相手を蹴る
  • 明確な場合: 明らかな反則ならIVRをせず主審の判断で取ってよい(例: 2秒残ってはっきり場外)
  • 微妙・接戦の場合: 「0.00の前か後か」「どっちが先か」が分からないときは「チョン/ホン」を置いてビデオリプレイ。両方確認が必要なら「チョン ビデオリプレイ・ホン ビデオリプレイ」としてラストアクション2人分を確認
  • ジュリーはタイムイン/タイムアウト(0.00の前後)を見極め、片方だけでなく両方を見る
使わなくてよい場面(3つ)①主審が明確に判断できている ②大差で試合結果に影響しない ③明らかなバウンダリーライン。ラスト10秒からは、むやみなカムチョンを取らず「0.00」までしっかり状況を見ておく。
Part 5 — Safety

ノックダウンとドクターKNOCKDOWN & DOCTOR

審判選手

カウントが必要な5つの事象

1

ふらつき

2

頭部への強い衝撃

3

出血

4

頭部蹴りによるダウン

5

目への蹴り

  • 「強い衝撃」でも、戻ってきてファイティングポーズで攻撃に行っていればカウントしなくてよい。顔を背ける・後ろや下を向く・転んでお尻をつくは危険なのでカウント。
  • カウントを取ったのに頭部PSSが得点していない → 必ずIVRで頭に当たっているか確認して3点/6点を追加。主審が忘れていたら全員でリマインド。
  • コーチ目線では「カウントしてほしい」(点につながる)が、審判がカウントするのはこの5項目。俳優のように何もなかったように続ける選手なら、あえて取らない。

ドクターを呼ぶ4つの事象

  1. 骨折
  2. 脱臼
  3. 足首の捻挫
  4. 出血 など

打撲は基本スルー(痛がっていてもドクターは呼ばない)。

ドクターが来たら

  • 「ケイシ」で1分計測開始。40秒→45秒→50秒と経過をドクターに伝え、継続可能か確認
  • 医師が延長必要と判断したら最大2分まで。「シガン」→「ケイシ」で1分追加
公平性の例(セミナーより)胸を狙った正当なパンチが、相手が手を上げたために顔に当たり、相手が起き上がれず「顔面パンチの反則で負け」になった例がある。審判は狙いが正当か・わざと(インテンショナル)かまで見る必要がある。
Part 6 — Become a Referee

主審(CR)の仕事CENTER REFEREE

審判

試合進行の絶対的リーダーとして、選手の安全と厳正な勝敗確定に責任を持つ。

試合中(コート上のコントロール)

  • 選手の安全確保と状態観察 — 怪我や危険行為を防ぎ、必要なら即時停止
  • 反則の適用と再開指示 — 明確な反則は即座に適用し、再開位置を明確に指示
  • 他審判員との連携 — 副審・ビデオジュリーの合図・判定を的確に確認

試合後(勝敗の確定)

  • 最終スコアの確認
  • 記録用紙・トーナメント表の勝敗結果の確認(最終署名はビデオジュリー)

時間管理

  • 残り時間を厳守(途中で終了させない)
  • 終盤はタイマーとスコアの両方を確認
  • 計測係の停止・再開漏れを見逃さず修正

スコアボード管理・オペレーター連携

  • 残り時間・テクニカルポイント・得点が正しく反映されているか
  • カムチョンの青赤が逆に入力されていないか
  • カリョで時間が止まっている間に確認してから「ケソク」。焦って再開し、周りに言われて戻すのは悪いやり方
  • ファントムポイント(急に付いた点)はビデオで確認

選手を元の位置に戻す4つの場面

  1. IVRの後
  2. バウンダリーライン
  3. アボイディング
  4. 副審のポイント追加後

境界線付近で起きた事象は元の位置(内側約1m)へ戻す。中央付近だったらIVRで集めたそのままの位置でよく、赤青が反対でもそのまま再開でよい。選手が勝手に中央へ戻った位置から再開しない。

Part 6 — Become a Referee

副審・ビデオジュリーCORNER JUDGE & VIDEO JURY

審判

副審(CJ) — 正確なスコア入力の責任者

主審のサポートは必要最小限にとどめる。

  • テクニカルポイントの入力徹底 — 回転技の押し忘れ防止
  • パンチポイントの見極め — 有効なパンチを正確に判定
  • 各種サポート — ドクター要請時、IVR時のレフェリーとしての役割
  • 入力した点数に責任を持つ

注意すべきこと: 押し間違い・連打の防止/防具の装着確認など選手の責任範囲への過剰介入の禁止/音だけ・軽いパンチ・見えていないのに押さない。

WTは電子グローブ導入で副審1名制へ移行中(アジア大会は2名)。日本は電子グローブ未導入のため2名制のまま。副審の重要度はこれまで以上に大きくなる。

ビデオジュリー — IVRの最終責任者

  • ライブで注視 — 映像ばかり見ず、試合から目を離さない
  • 30秒以内の判断 — コーチがカードを上げた瞬間に映像を止め、事象を探し、観客・コーチに映してアクセプト/リジェクト
  • 記録と合図 — IVR/TAシートへ記録し、適切な合図
  • オペレーターの監督 — 最終責任はジュリーにある
  • 記録とトーナメント表の確認・サイン — 「試合の勝敗結果の確定は審判の責任」

オペレーター: 試合中の得点・時間入力。日本では審判が兼ねることもある。

副審も主審もスコアボードを見る癖をどの蹴りが点になったか、今何個カムチョンか。試合動画の主審はコーナーへ行く合間に何度もスコアボードをチラッと確認していた。
Part 6 — Inspection

インスペクション(試合前点検)INSPECTION

審判選手

試合直前に、選手が規定を満たし、安全かつ公平に試合を行える状態かを確認する。1人あたり約1分。規定どおり確認することは不可欠だが、厳しすぎて進行を阻害しないよう臨機応変に。

事前準備

  • 試合開始の20〜30分前にスタンバイ
  • インスペクションエリアとドクターの位置を確認
  • 持ち物: 爪切り・金属探知機・トーナメント表・ペン、予備ソックス(あれば)
  • 道着・WTオフィシャル装備品・マウスガード規定の事前確認

STEP 1 本人確認

  • 選手番号・名前・所属(日本ではIDがほとんどないため名前と所属を確実に)
  • セカンド(監督・コーチ)の照合 — リストバンド・ナンバー表で、登録されたコーチか

STEP 2 装備・身体チェック(頭から足先へ)

頭部・顔回りヘアピン・髪の毛(ヘッドギアに納まるか)、ピアス等の金属(口の中のピアスも)、マウスガード
首・胴体ネックレスの有無、金属探知機チェック(反応があれば質疑応答)
道着・防具道着(大会によりWT規定かAJTA)、アームガード・グローブ・シンガード・ソックス・ファウルカップ — すべてオフィシャル物品か
サイズ・着こなし青(チョン)・赤(ホン)の間違いがないか/対戦選手同士の防具サイズに相違がないか/帯が長すぎないか(長ければ巻き直す)/ズボン・袖が外側に折られていないか(引っかかると危険)/ズボンが長すぎないか(腰でまくり上げる)
爪・ソックス爪の長さ、電子ソックスの有効性
選手へ爪は短く、アクセサリーは全部外し、帯は長すぎない長さで。ズボンや袖を外に折って短くしないこと(縫って直す)。
Part 6 — Para Taekwondo

パラテコンドーPARA TAEKWONDO

審判

通常のキョルギをベースに、障がいクラス(K41/K44など)に応じた特例がある。頭部は得点範囲ではなく、頭への攻撃は反則。2026年からは反則の種類とジェスチャーがキョルギと同一になった(以前はグラビングのジェスチャーが違う等があった)。

頭部ヒット発生時の3パターン

① デンジャラスプレイ
直接頭を蹴った

故意でなくても直接頭に当たれば、カムチョン(ミスコンダクト)+イエローカード。イエロー3回で失格(DQB)。
ジュリー: サムズアップ+顔を触るジェスチャー

② アクシデント
体に当たって滑って頭へ

体を狙って足が滑った、相手が腕を上げて頭に当たった等。カムチョン(ミスコンダクト)のみ、イエローなし。
ジュリー: サムズアップ+胴体と顔を触るジェスチャー

③ アンセーフティプレイ
受け手がしゃがんで頭に当たった

自分で下がった(しゃがんだ)側にカムチョン。
ジュリー: サムズアップ+該当選手を指さし+下向きの手で押し下げるジェスチャー。頭部接触なしはリジェクト(腕クロス)

  • IVRは蹴った選手のカラーカードをコート中央から掲げて要請。イエローカードは「チョン カムチョン ミスコンダクト」の後に提示。
  • 道着の袖: 袖口から手先が最大5cm露出(A)または袖口の端から最大5cm奥(B)のいずれか。折りまくる・ホッチキス・縛るはすべて不可、必ず縫う。
  • 計量: 全裸計量禁止、下着着用で+100g許容(例 M-58kg: 58.19まで合格、58.20失格)。ランダム計量(5%)あり。
  • 補助者の立ち入り条件や進行手順、各大会要項のローカルルールを事前に把握。新旧・国内運用(「国内7月運用」と「8月以降運用」)を混同しない。
Part 6 — Mindset

審判の心得REFEREE MINDSET

審判選手

主審はゲームメイク

選手同士が試合をすることがいちばん重要。主審が変に入っていかない。ただし悪質なものと「必ず取る4つ」はしっかり取る。

スナイパーのように反則を探さない

ルールブックをAIが暗記して審判をしたら、全員5カムチョンで試合にならない。今は「解釈」をすり合わせる時代。審判委員長が変わればルールは同じでも解釈が変わる。

選手保護と公平性

0.5秒の出来事を瞬時に判断する大変な役割。ルールどおりにやって「正当な攻撃をした方が反則で負けた」ことにならないよう、狙いが正当か・わざとかまで見る。

コーチ目線と審判目線は違う

コーチには権利と役割があり、チャレンジは自由。審判は自分がどちらの目線で見ているかを分け、選手やコーチに理不尽な思いをさせないことが宿題。

経験の積み方(AJTA 審判委員会より)

  • ビデオはスローで見られるが、コートでは瞬時の判断。多くの大会に参加して経験を積む。国際審判と審判委員会がサポートする。
  • 全日本系の大会は、各大会終了後にGoogleフォームで個人の振り返りを提出(試合番号とメモを残しておく)。
  • 大会当日はコーチミーティングと審判教育で「今回はここまで取る」をすり合わせる。
  • 対面講習(2026年10月): 10/11 関東・熊本、10/17〜18 甲信越、10/25 大阪 — 動き・マネジメント・シグナルを実技で。質問は審判委員会メールへ。
最後にもう一度 — 必ず取る4つバウンダリーライン(境界線を越える)/フォーリンダウン(倒れる)/アフターカリョ(カリョ後の攻撃)/アタッキング・フォールン・オポーネント(倒れた相手を蹴る)
SOURCES & NOTES

出典・ご注意

本ブックは、全日本テコンドー協会(AJTA)審判委員会が2026年9月6日に開催した「WT競技規則 オンラインルールセミナー」(Zoom録画・2本)の講義内容と投影資料を、ライツテコンドークラブが学習用に整理したものです。

  • レコーディング1(2時間31分): 審判の役割・計量・インスペクション/パラとニュールール/反則行為(試合動画) — 講師: 中野 氏、友野 壽美 氏
  • レコーディング2(24分): IVR(ビデオ判定)・まとめ — 講師: 友野 壽美 氏
  • 参照資料: 「2026 WT Referee」「2026 パラ&New Rules」「反則 2026 WT New Rules Referee」「2026 WT IVR Referee」(AJTA審判委員会)
正式な規則は WT「Inside WT → Rules & Regulations」および AJTA の通達を優先します

セミナー資料は写真・録画・動画撮影が禁止されているため、本ブックではスライドの図版を転載せず、内容を再構成して独自の図で表現しています。ルールの解釈は大会ごとの審判教育・コーチミーティングで更新されることがあります。本ブックの記載と大会での運用が異なる場合は、大会の運用が優先されます。

ライツテコンドークラブ(大阪) · tkd.reizwings.jp 2026年10月 作成
目次